ピーマン
だが、流石に二切れも食べるのは我慢できないらしい。
緋影は大竹が出て行くのを確認する。
「先輩……奴がピーマン嫌いなの知ってて弁当に入れてきてますね?」
葵は眼鏡越しににっこりと微笑みながら、
「好き嫌いはいけませんから」
葵は緋影にも同様のことをするのだ。
緋影の場合は必ずトマトを入れてくる。
しかも、あの邪気の無い笑顔で弁当を持ってこられると断れないから困る。
「先輩、ひょっとして大竹にぶん殴られた恨み、ここで晴らしてない?」
彼女はちょっと照れた様子で、
「やっぱりわかります?」
舌をぺろっ、と出した。
(……やっぱそうだったのか)
呆れながらもすぐさま緋影は思考を切り替える。
「でも先輩。俺の事を組織は放っておくんだろうか?」
「その事なら心配いりません。今回の事件については、組織に虚偽を混ぜて言っておきましたし。ナイト・オブ・ウインド夜の風も何か考えがあるのか、定時の報告しかしていないようです」