浪漫を求めて

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ネマンサー

ネマンサー

「やはり君の提案は我々を騙す為のものだったのか」

場には重い沈黙が漂う。

(ここで事情を話したとしてもどうしようもないな)

剣を上段に構え直し、セインは答える。

「自分の考えとは違うのだが……軍がこういった行動にでることも、予想はしていた」

軍にとって最悪の結果は最小限の犠牲で戦闘が終結すること。

そして最小限の犠牲で戦闘を終結させる為には『死霊使い』の命を保証した上で投降を勧める事だ。そして、セインの性格を知る軍はその事態を最も恐れた。だから、軍は強引に街に奇襲を掛けたのだろう。

「……」

羅刹はじりじりとセインとの間合いを詰めている。

「だから、俺はこういった事態を想定して、予め街を調査していた」

羅刹の歩みが止まる。

「好ましい事態ではないが……暗殺には好都合の環境だ」

セインの表情が不敵に笑う。

羅刹は瞬時の内にセインに肉薄し、上段からセインの右肩目掛けて刀を振り下ろす。

剣は抜かずに、バックステップだけで羅刹の袈裟切りをかわすセイン。

その頬に細く赤い筋が一本、出来ていた。

しかし、セインの顔にはなお不敵な表情が浮かんでいる。

「今日、俺がここに一人で来たのは理由がある。一つは相手側に対し、こちらに戦意は無いことを示すため。二つ目は、あんた方が何らかの罠を張っている可能性を考慮した」

セインは剣を胸元に水平に構える。

「もう一つは……こういった事態になった場合、『死霊使い』を速やかに暗殺し、犠牲を最小限にすること」

いくら軍であっても、直接『死霊使い』の首を突き出されれば、攻撃を中止せざるを得ないだろう。この状況下ではそれが最も速やかに、かつ最小限の犠牲ですむ戦略だ。