浪漫を求めて

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クロ

クロ

「……ユート……俺は『死霊使い』を暗殺しようと思う……」

ユートは軍から届いた手紙を片手に、

「……軍は街を攻撃しろ、って言っているけどね……」

サンは心配そうな顔で、

「命令を無視したら……どうなる訳?」

セインに問い掛ける。

セインは厳しい表情のまま、

「……良くて軍を追放……最悪公開処刑だろうな……」

俯いたまま呟く。

この星には五つの大陸がある。『浄化の日』以前は五大陸から代表者である『神官』を一名づつ選出し、この星を治めていた。

しかし、どういう訳か五名の『神官』達は突如行方不明となり……その三日後、『浄化の日』はやってきた。

そしてセイン達が住むこのゴンドワナ大陸では、神官の行方不明をいち早く察知した軍が政権を奪うべく、クーデターを起こしたのだ。

『浄化の日』の混乱からまだ立ち直っていない大陸を掌握するのは、神官の血縁者の抵抗があったものの、事の他容易だった。

しかし、この混乱が落ち着いたら、大陸内から軍が非難されるのは必至だ。

そこで、軍は神官の血縁者をその中枢に取り込むことで大陸内の非難をかわそうとしたのだ。そうすれば、軍は神官に代わって大陸を治めていると言う論を通せるからだ。

だが、軍にとっても新たな問題が起こった。

非難をかわそうと思って中枢に取り込んだ神官の血縁者達の実力が、軍が考えているよりも遥かに高かったのだ。農民の反乱や、食糧を巡る街同士の抗争も、最小限の犠牲で終結させたことで、彼等の実力は瞬く間に大陸中に広まり、軍の政権を脅かし始めた。

そして、軍は、

「……この命令を俺の所に持ってきたのだろうな……」

セインは忌々しげに呟く。

セインの性格を熟知している軍部はこの命令が違反されることを承知の上で、セインに命じたのだろう。セインをこの村の救援隊の隊長に選んだのも、村の現状を見れば必ず『死霊使い』の暗殺に動きだすと確信していたからだ。セインが命令に違反すれば処刑の理由ができ、万一、命令通りに実行すれば神官達の名は地に落ちる。

神官側でも五指に入る程の実力者のセインを消せれば、それは良し。消せなくても神官全体から人心が離れる。もちろん、軍はこの作戦がセインの独断で進められたものだ、と言い張るだろう。

セインは軍部が開発中の『爆薬』なる物質を使って『死霊使い』を暗殺しようと提案もしたが、あくまで実験段階で実戦投入は不可能だと突っぱねられた。

セインを尊敬する部下達はこぞってこの作戦の不参加を訴えた。

どう考えても理不尽だ。いっそのこと、軍に反乱を起こそう、と言い出す者まで出て来たが、『……この状態で軍と俺達、『神官』が戦争をしたらどうなる?』