ロマンサ40
この一言で部下達は黙った。
仮にセインが反旗を翻し、神官の血縁者がセインの側についたとしても、大陸を二分する勢力が戦争を行えば、人類にとって取り返しのつかないことになる。それ以前に神官の血縁者がセイン側につく、という保証も無い。軍はセインがその事も考慮に入れるであろう、と推測していたからこそ、こんな作戦をセインに伝えてきたのだ。
自分達『神官』の血縁者が軍との戦いに敗れたあとでも軍に残っているのは、大陸の人々を救う為だ。軍にまかせておいたら、その犠牲者の数がどれほどになるか検討もつかない。
『死霊使い』の街は復興しつつある。街を保護して税を取り立て、その資金で周辺の村の建て直しもしない。人口調節をするのならば、わざわざ街に戦闘をしかけなくとも、村の飢饉を放っておけばいい。軍がそういった行動を起こさずに、街に戦闘を仕掛けようとするのは、ただセイン達を軍から追い出したいが為だ。
それをセインはよく知っている。知りつつも、『死霊使い』を暗殺しようとするのは、
「……この村で死んでいった子ども達の為にも……『死霊使い』は暗殺する……!」
……例え、それが自らの命を絶つ結果を招いても……!
セインの親友であるユートと、その精霊であるサンは、その覚悟を誰よりも知っていた。
……だからこそ、彼を止めることはおろか、言葉を掛けることも出来なかったのだ……